妻に「SNSなんてやめたら」と言われた夜に気づいた、売上が上がらない本当の理由

私がSNSマーケティングのコンサルタントを始めて7年が経つ。これまで数百人のクライアントと向き合ってきたが、彼らの多くが抱える共通の悩みがある。それは「努力しているのに結果が出ない」という現実だ。

先日、私のコンサル生の一人、田中さん（仮名）から相談を受けた。彼は会社員をしながら副業でSNS運用を始めて2年。フォロワー数は5,000人を超え、一見成功しているように見える。

しかし、現実は厳しかった。月収は3万円程度。時間単価で計算すると、アルバイト以下の収入しか得られていない。

「先生、妻から『いつまでスマホばかり見てるの？』と言われました」

田中さんの声には疲労感が滲んでいた。毎日3時間以上をSNS運用に費やし、家族との時間を削り続けた結果がこれだ。投稿のネタ探し、コメント返し、フォロワーとの交流。やるべきことは山積みなのに、収益は思うように上がらない。

「子どもから『パパはいつもスマホを見てる』と言われた時、何のためにやっているのか分からなくなりました」

この言葉を聞いた時、私は多くの人が陥っている罠を改めて確信した。

SNS運用において、多くの人は「とりあえず続けていれば結果が出る」と信じている。フォロワー数が増えれば収益も比例して上がると思い込んでいる。しかし現実は違う。

田中さんのように、5,000人ものフォロワーがいても月収3万円という状況は決して珍しくない。むしろ、これが大多数の現実だ。

問題は戦略の欠如にある。多くの人が「何となく」投稿を続け、「何となく」フォロワーを増やそうとしている。しかし、収益化には明確な設計図が必要なのだ。

家族からの理解を得られず、孤立感を抱えながらSNS運用を続ける人たち。彼らの努力は決して無駄ではない。ただ、方向性が間違っているだけなのだ。

もしあなたも田中さんと同じような状況にいるなら、まずは現実を受け入れることから始めよう。そして、正しい戦略を学び直す覚悟を持ってほしい。

田中さんの悩みを聞いた後、私は彼に「どんな勉強をしてきましたか？」と尋ねた。すると、彼の口から出てきたのは、まさに私が予想していた答えだった。

「YouTube、note、有料講座…とにかく色々なノウハウを学びました。投稿時間は午前7時と午後9時、ハッシュタグは30個必須、ストーリーズは1日5回以上、フォロー返しは必ず24時間以内に…」

彼は3ヶ月間、まさに「テクニック地獄」に陥っていた。ノウハウコレクターという言葉があるが、田中さんはその典型例だった。机の上には付箋だらけのノート、スマホには「SNS攻略法」のスクリーンショットが100枚以上。

興味深いのは、彼の行動パターンだ。新しいテクニックを知ると、まずはそれを「正解」として完璧に実行しようとする。学校教育で培われた「先生の教えを忠実に守れば良い成績が取れる」という思考回路が、ここでも発動していたのだ。

しかし、SNSの世界に「絶対的な正解」は存在しない。なぜなら、画面の向こうにいるのは「人間」だからだ。

田中さんは毎朝7時にビジネス系の投稿をしていたが、彼のフォロワーの大半は夜型の20代女性だった。30個のハッシュタグを駆使していたが、その内容は彼の発信とは全く関係のない人気タグばかり。フォロー返しは24時間以内に行っていたが、相手のプロフィールすら読まずに機械的に行っていた。

「テクニックを学ぶのは悪いことではありません。でも、それを『なぜ』使うのかを考えたことはありますか？」

私がそう問いかけると、田中さんは初めて言葉に詰まった。彼は3ヶ月間、フォロワー一人ひとりの顔を想像したことがなかったのだ。深夜にスマホを眺めている人の心境も、朝の通勤電車での気持ちも、考えたことがなかった。

テクニックは道具に過ぎない。大切なのは、その道具を「誰のために」「どんな気持ちで」使うかだ。

田中さんとのコンサルを終えた夜、私は自宅で妻に今日の出来事を話していた。

「今日のクライアントもテクニック漬けでね。フォロワーは増えるけど売上に繋がらないって相談だった」

妻は料理をしながら、何気なくこう言った。

「それって、あなたが私に毎日『おはよう』『お疲れさま』って言うだけで、私の気持ちを全然理解しようとしないのと同じじゃない？」

その瞬間、私の中で何かがガチンと音を立てた。

妻の言葉は、まさに田中さんの問題の本質を突いていたのだ。彼は毎日決まった時間に投稿し、決まったハッシュタグを付け、決まった数だけストーリーズを上げていた。でも、その向こう側にいる「人」のことを考えていなかった。

「フォロワーも家族も、結局は同じ人間なのか…」

私は7年間、数百人のクライアントを見てきて気づいた。収益化に成功する人と失敗する人の決定的な違い。それは「相手を人間として見ているかどうか」だった。

成功している私のクライアントを思い浮かべると、彼らには共通点がある。投稿の前に必ず「今日見てくれる人はどんな気持ちだろう？」と考える習慣があることだ。

例えば、月収50万円を達成した佐藤さん（仮名）は、こんな話をしてくれた。

「私、投稿する前に必ず娘に『この文章、どう思う？』って聞くんです。娘が『お母さん、これ説教臭い』って言ったら書き直します。フォロワーさんも娘と同じ人間だから、きっと同じように感じるはずって」

一方で、テクニックばかりに走る人は、フォロワーを「数字」として見ている。エンゲージメント率を上げるための「物」として扱っている。だから、どれだけフォロワーが増えても信頼関係が築けない。信頼がなければ、当然商品は売れない。

SNS運用の本質は、画面の向こう側にいる一人一人の人間と、どれだけ深い関係性を築けるかにある。

妻の何気ない一言が、私に大切なことを思い出させてくれた。私たちが相手にしているのは、フォロワーでも顧客でもない。家族や友人と同じように、喜怒哀楽を持った「人間」なのだ。

立場別の実践法を整理した翌週、私のもとに嬉しい報告が相次いで届いた。

まず田中さんから「月収が12万円になりました！」というメッセージ。続いて主婦のクライアント・佐藤さんからは「家族からも応援されるようになって、副業への罪悪感が消えました」という連絡。

彼らに共通していたのは、テクニックを捨てて「人と人との関係」に注力したことだった。

田中さんは投稿頻度を1日3回から1回に減らし、その代わりDMでの個別対応に時間を使った。「おはようございます」の定型文をやめ、相手の投稿を読んでから「昨日の○○の件、その後いかがですか？」と具体的にコミュニケーションを取るようになった。

すると驚くことに、フォロワー数の伸びは鈍化したものの、商品購入率が3倍に跳ね上がったのだ。

佐藤さんは家族との時間を大切にしながら、その体験をリアルに発信するスタイルに変えた。「今日も疲れたママへ」という一般論ではなく、「娘の発熱で仕事を休んだ日に感じたこと」という個人的な体験を丁寧に言語化した。

結果、同じ境遇のママたちから「私も同じです」「支えられています」という反応が急増。商品販売だけでなく、個別相談の依頼も舞い込むようになった。

何より素晴らしいのは、家族からの理解が得られたことだ。夫から「君の投稿を見て、改めて家族を大切にしようと思った」と言われた時、佐藤さんは涙が出たそうだ。

私自身も妻に「最近のあなたの投稿、前より人間味があっていいね」と褒められた。数字を追いかけている時は決してもらえなかった言葉だった。

信頼関係を軸にしたSNS運用は、収益だけでなく人生そのものを豊かにする。これが持続可能な副業の本質なのだ。

田中さんや佐藤さんの成功報告を受けて、私は改めて確信した。SNSで本当に成果を出すために必要なのは、最新のテクニックでも、フォロワー数でもない。「人の心を理解し、信頼関係を築く力」だ。

しかし、ここで厳しい現実をお伝えしなければならない。

私のもとには今も毎日、こんな相談が届く。「新しいアルゴリズム対策を教えてください」「バズる投稿テンプレートが欲しいです」「最短で稼げる方法を知りたいです」

気持ちはよく分かる。私も昔は同じだった。でも、テンプレートに頼り続ける限り、あなたは一生「次の手法」を探し続けることになる。アルゴリズムが変われば振り出しに戻り、新しいSNSが登場するたびに右往左往する。

そんな不安定な状況から抜け出したいなら、今こそ本質的なスキルを身につけるべきだ。

テンプレートに頼るか、本質を学ぶか。

あなたはどちらを選ぶだろうか？この選択が、あなたの1年後、3年後を大きく左右する。