はじめまして。私は企業の人材育成コンサルティングを行っているマーケターです。普段は管理職研修や組織開発の支援を通じて、多くの中間管理職の方々とお話しする機会があります。

先日、私のコンサルティングを受けている40代の部長から、興味深い相談を受けました。彼の部下である課長が「副業を始めたいのですが、どう思いますか」と相談してきたというのです。

その部長は困惑していました。「正直、自分も副業に興味はあるんです。でも管理職として部下にどう答えるべきか分からない。会社の立場もあるし、でも時代の流れも感じている」と。

実は、この種の相談が最近非常に増えています。管理職の皆さんが共通して抱えている悩み、それは「副業への関心はあるが、立場上踏み出せない」というジレンマです。

会社員として安定した収入を得ながら、一方で将来への不安も感じている。部下からの相談を受けて初めて、自分自身の副業願望に向き合うことになった管理職の方も少なくありません。

私自身、コンサルタントとして独立する前は大手企業の管理職でした。当時を振り返ると、副業という選択肢があることは知っていても、「管理職がそんなことをしていいのか」という心理的な壁がありました。

今回は、こうした管理職特有の副業に対する心理的障壁について、私のコンサル経験と自身の体験を交えながらお話ししたいと思います。同じような立場にいる方々の参考になれば幸いです。

実は、この管理職の方の相談を受けて、私自身の過去を思い出しました。恥ずかしながら、私も数年前にSNS副業に挑戦し、見事に失敗を重ねた経験があるのです。

1度目の失敗は「フォロワー購入」でした。当時、某SNSで1万人のフォロワーを購入し、一夜にして「影響力のあるアカウント」になったつもりでいました。しかし、投稿へのエンゲージメントは皆無。100いいね程度で、明らかにフォロワー数と釣り合わない状況でした。結果として、企業案件を獲得するどころか、アカウント自体が不自然に見られ、信頼を失うことになりました。

2度目は「自動化ツール依存」です。投稿予約、自動いいね、自動フォローなど、あらゆる作業を自動化しました。確かに効率的でしたが、コミュニケーションが機械的になり、フォロワーとの関係性が全く構築できませんでした。ツールに月3万円も支払っていたにも関わらず、収益は月5千円程度。完全に本末転倒でした。

3度目の失敗が「トレンドハッシュタグ乱用」です。バズりそうなハッシュタグを片っ端からつけて投稿していました。一時的にリーチは増えましたが、ターゲット層とは全く異なるユーザーばかりが流入し、結果的に価値のないフォロワーが増えただけでした。

これらの失敗を通して気づいたのは、市場に溢れるSNS副業のノウハウの多くが「表面的なテクニック」に偏っているということです。フォロワー数を増やす方法、エンゲージメントを上げるコツ、バズる投稿の作り方…確かにそれらは重要な要素ですが、根本的な価値提供ができなければ、持続可能な副業にはなりません。

私のコンサル生の部下である課長も、おそらく同じような「すぐに結果が出る」系の情報に触れているのではないでしょうか。しかし、本質を理解せずにテクニックだけを追い求めると、私と同じ失敗の道を歩むことになります。

そんな失敗続きの私でしたが、転機となったのは昨年の忘年会でのことでした。コンサルティング業界の同業者が集まる飲み会で、興味深い現象を目の当たりにしたのです。

参加者は皆、同じようにビジネス系の発信をしているコンサルタントたちでした。しかし、話を聞いていると明らかに「稼げている人」と「稼げていない人」に分かれていることが分かりました。

稼げていない人たちの特徴は、私の過去の姿そのものでした。「フォロワーが増えない」「いいねが付かない」「売上に繋がらない」といった悩みを口にし、解決策として「投稿頻度を上げる」「トレンドに乗る」「インフルエンサーとコラボする」といった表面的な手法ばかりを議論していました。

一方、稼げている人たちの会話は全く違いました。彼らは「ターゲットの課題分析」や「価値設計の見直し」といった、より本質的な話をしていたのです。

その中でも印象的だったのが、年収3000万円を超えるコンサルタントのAさんの言葉でした。「SNS発信で一番重要なのは、誰に何を届けるかを明確にすること。フォロワー数なんて指標の一つに過ぎない」

Aさんはさらに続けました。「僕のフォロワーは3000人程度だけど、その中の300人が確実に僕のサービスに関心を持っている。この300人のニーズを深く理解し、彼らが本当に求める価値を提供することに集中している」

この会話を聞いて、私は愕然としました。私が追い求めていたのは数字という幻想であり、本当に大切なのは「誰のどんな問題を解決するか」という本質的な部分だったのです。

つまり、SNS副業で成功するためには、マーケティングの基本である「ターゲット分析力」と「価値設計力」という普遍的なスキルが必要だということに、ようやく気づいたのです。

あの飲み会で気づいた「価値設計」の重要性を踏まえて、私はその後、様々な属性の方がどのような導線で成功しているかを徹底的に調査しました。今日は、その中から特に成果が出やすい4つのパターンをご紹介します。

前章で属性別の成功パターンをお話ししましたが、実はこれらの成功者たちには、もう一つ共通している重要なポイントがあります。それが「価値設計の思考法」です。

多くの人が陥りがちなのは、「どう発信するか」「どう売るか」といった表面的なテクニックにばかり目を向けてしまうことです。しかし、本当に稼げている人たちは、その前段階で全く違うことを考えています。

彼らは必ず「誰の、どんな問題を、どのように解決するか」を明確に設計してから動き出します。これが価値設計の思考法の核心部分です。

例えば、先ほどの営業マンの例でいえば、彼は最初から「新人営業マンの契約獲得の悩み」という具体的な問題を定義し、自分の失敗体験を通じてその解決策を提示するという価値を設計していました。決して「営業ノウハウを発信すれば稼げるだろう」という漠然とした考えではなかったのです。

一方、稼げない人の多くは「自分が何を知っているか」から発想します。「プログラミングができるから教える」「英語が得意だから発信する」といった具合にです。これでは、受け手側の具体的な問題や欲求とのミスマッチが生まれやすくなります。

価値設計の思考法は、実は私自身の失敗経験からも痛感していることです。最初の頃は「コンサルの知識を発信すれば価値があるはず」と思い込んでいましたが、実際には誰の何を解決しているのかが曖昧でした。

この思考法をマスターすることで、あなたも表面的なテクニック論から脱却し、本質的なアプローチで継続的な収益を生み出せるようになるはずです。