「毎日投稿を続けて半年、フォロワーは3000人を超えました。でも収益は月5000円程度で…何が間違っているんでしょうか？」

先日、僕のコンサル生からこんな相談を受けました。彼の話を聞きながら、5年前の自分の姿が鮮明に蘇ってきたんです。

当時の僕は大手商社で働く典型的なサラリーマンでした。毎日終電帰りの生活に疲れ果て、「副業で人生を変えたい」という一心でSNS発信を始めました。

Twitterの投稿術を学び、インスタの写真加工を覚え、毎日欠かさず投稿を続けました。フォロワー数は順調に伸び、「いいね」の数に一喜一憂する日々。周りからは「すごいね、影響力あるじゃん」と言われ、自分でも何かを成し遂げているような錯覚に陥っていました。

しかし現実は厳しかった。半年間必死に続けた結果、得られた収益はわずか月8000円。時給換算すると100円以下という絶望的な数字でした。

「なぜこんなにフォロワーがいるのに稼げないんだ？」

その答えに気づくまで、さらに半年を要しました。問題は投稿の質でも頻度でもなく、根本的な「戦略の欠如」だったのです。

多くの人がSNS副業で犯す致命的な間違い。それは「発信すること」自体が目的になってしまうこと。本来は手段であるはずのSNSが、いつの間にか目的にすり替わってしまうのです。

あなたも同じ道を歩んでいませんか？

そんなコンサル生との面談を終えた翌日、会社の歓送迎会がありました。久々の職場の飲み会で、普段SNSでキラキラした投稿をしている同僚たちとリアルに話す機会が得られたんです。

その中の一人、営業部の田中さん（仮名）は、インスタで「充実した毎日」を発信し続けている人でした。高級レストランでの食事、おしゃれなカフェでの読書風景、セミナー参加の様子…フォロワーも8000人超えの、いわゆる「インフルエンサー」です。

「田中さん、いつもインスタ見てますよ。すごく充実してますね」

僕がそう声をかけると、彼の表情が一瞬曇ったんです。

「実は…撮影のために無理して高いお店に行ってて、正直きついんです。本当は家で漫画読んでる時間が一番幸せなのに、それじゃフォロワーが増えないから」

さらに驚いたのは、別の同僚の発言でした。ビジネス系の投稿で「年収アップの秘訣」を語っていた佐藤さんが、酔いが回ってポツリと言ったんです。

「みんな僕のこと成功者だと思ってるけど、副業の収入なんて月3万円だよ。でも弱音吐いたら誰も見てくれなくなるし…」

その瞬間、僕は市場の歪みの正体を目の当たりにしました。

SNSでは「完璧な自分」を演じ続け、現実とのギャップに苦しむ発信者たち。そして、その表面的な投稿に憧れて同じ道を歩もうとする人たち。まさに、5年前の僕がハマった罠そのものでした。

飲み会での気づきを整理しながら、僕はコンサル生たちの相談内容を改めて分析してみました。すると面白いことに、相談者の属性によって間違いパターンに明確な傾向があることが見えてきたんです。

僕自身、会社員時代にはこれらの間違いを全て経験しました。大切なのは、自分の立場特有の間違いパターンを理解し、意識的に避けることです。

属性別の間違いパターンを分析していく中で、僕自身にも大きな変化が起きていました。それは「人と人とのつながり」の本質に気づいたことです。

きっかけは、コンサル生の一人、主婦の佐藤さん（仮名）との出来事でした。彼女は「子育て中でも月10万円稼げる方法教えます」という発信を続けていたんですが、全く反応が取れずに悩んでいました。

その瞬間、僕は衝撃を受けました。彼女の発信が響かなかった理由は明確でした。「稼ぐ方法」ではなく、「同じ悩みを持つママへの共感」こそが彼女の本当の価値だったんです。

「佐藤さん、子育ての合間にどうやって時間を作っているか、その工夫を発信してみませんか？」

僕の提案で、彼女は発信内容を180度転換しました。「朝5時起きで確保する30分の自分時間」「子どもが昼寝中の集中術」など、リアルな体験談を素直に投稿し始めたんです。

結果は驚くべきものでした。投稿への反応が10倍に増え、同じ境遇のママたちからのDMが殺到。そして3か月後、彼女のもとには「時間管理コンサル」の依頼が舞い込むようになったんです。

佐藤さんの変化をきっかけに、僕は他のコンサル生たちの「その後」も追いかけてみることにしました。すると驚くべき変化の連鎖が見えてきたんです。

会社員の山田さんのケース

「時短投稿」に頼っていた山田さんは、本質に気づいてから投稿頻度を週3回に減らしました。その代わり、一つ一つの投稿に「なぜこれを伝えたいのか」という想いを込めるように。

結果、3ヶ月後には個別相談の申し込みが月15件に増加。収益も月3万円から12万円へと4倍になったんです。

「数より質って本当だったんですね。忙しさを言い訳にしていた自分が恥ずかしいです」と彼は振り返ります。

フリーランスの鈴木さんのケース

「何でも屋」状態だった鈴木さんは、自分が本当に解決したい問題を一つに絞りました。元教師だった経験を活かし、「子どもの勉強嫌いを解決する」という明確なテーマに。

投稿内容も「稼ぎ方ノウハウ」から「親子の学習コミュニケーション」へ大転換。するとどうでしょう、半年後には教育系企業からの講演依頼や、オンライン講座の受講者が300名を超えたんです。

学生の田中くんのケース

最も印象的だったのが、就活アピールで発信していた田中くんの変化です。本質に気づいた後、彼は「就活生の等身大の悩み」を素直に発信するように。

「面接で緊張しすぎて何も話せなかった」「企業研究が全然進まない」そんなリアルな体験談が、同世代の就活生に刺さったんです。今では就活コミュニティの運営者として、企業からのスカウトも受けています。

彼らの変化を見ていると、「人と人とのつながり」の本質に気づくことで、SNSが単なるツールから、人生を豊かにする手段へと変わることが分かります。

これらの事例を見ていて、僕は一つの確信を得ました。SNSで本当の成果を出すために必要なのは、最新のテクニックでも流行りのツールでもない。「なぜ発信するのか」という本質的な動機と、「誰のために何を伝えたいのか」という明確な軸なんです。

でも正直に言うと、この本質に気づくまでに僕は2年以上の時間を無駄にしました。テクニック系の情報商材に30万円以上投資し、毎日のように「バズる投稿のコツ」を検索し、結果の出ない施策を繰り返していたんです。

もしあなたが今、同じような状況にいるなら、僕は心から伝えたい。「そのループから一日でも早く抜け出してほしい」と。

テクニック依存の沼は想像以上に深いんです。一時的に数字が伸びても、また次のテクニックを求める。そしてまた一時的に伸びて、また次を求める。この繰り返しで、気づけば本質から遠ざかってしまう。