はじめまして。元広告代理店でマーケティングに携わり、現在は個人事業主として動画マーケティングのコンサルティングを行っている者です。

先日、僕のコンサル生から衝撃的な報告を受けました。彼が投稿したTikTok動画が100万回再生を突破したのです。しかし、その後に続いた言葉が僕の心に深く刺さりました。

「先生、100万回も見られたのに、売上が1円も上がっていないんです…」

その時の彼の声には、喜びと絶望が入り混じっていました。数字を見れば大成功のはずなのに、肝心のビジネスには何の影響も与えていない。この矛盾した現実に、僕は自分の過去を重ね合わせました。

実は僕自身も、広告代理店時代から独立したばかりの頃、同じような経験をしています。バズった投稿の再生回数を何度も確認しては一喜一憂し、しかし通帳残高は一向に増えない。その虚無感たるや、言葉では表現しきれません。

この問題は決して特殊なケースではありません。会社員の副業として動画投稿を始めた方、子育ての合間に発信活動をする主婦の方、学生起業家、フリーランス──属性に関係なく、多くの人が「再生回数は伸びるのに売上に繋がらない」という壁にぶつかっています。

なぜこのような現象が起きるのでしょうか。そして、この問題を解決する方法は存在するのでしょうか。

今回は、データと実体験を基に、この業界の構造的な問題と具体的な解決策について、忌憚なくお話ししたいと思います。

このコンサル生の話を聞いた時、僕は広告代理店時代のある出来事を思い出しました。

数年前、大手飲料メーカーのCMが社会現象レベルでバズったことがありました。SNSでは連日話題になり、テレビでも取り上げられ、まさに「認知度爆上がり」状態。しかし、蓋を開けてみると売上はほぼ横ばい。クライアントからは「なぜ話題になったのに売れないんだ」と詰められました。

その時、僕は業界の構造的な問題に気づいたんです。

認知獲得と購買促進は、全く別のスキルセットが必要だということを。

CMがバズる理由は「面白い」「感動する」「話題性がある」といった感情的な要素です。一方、商品を購入してもらうには「なぜその商品が必要なのか」「他の商品との違いは何か」「今買うべき理由は何か」という論理的な説得が必要になります。

これ、まさにSNS副業で起きていることと同じメカニズムなんです。

多くの人が「バズれば稼げる」と思い込んでいますが、実際は認知を獲得するスキルと、その認知を売上に変換するスキルは全く別物。大手企業でさえ苦戦するこの課題を、個人が簡単にクリアできるわけがありません。

広告業界では「上部ファネル（認知獲得）」と「下部ファネル（購買促進）」を明確に分けて戦略を立てます。ところが、SNS副業の世界では「とにかくバズろう」という上部ファネル偏重の考え方が蔓延している。

これでは、どれだけ再生数が伸びても収益化できないのは当然です。

僕のコンサル生が体験した「100万再生で売上ゼロ」という現実は、決して彼の努力不足でも才能不足でもありません。業界全体が抱える構造的な問題の表れなんです。

実は、この構造的な問題を僕自身も身をもって体験していました。今でこそ偉そうにコンサルをしていますが、個人事業主になってから最初の4年間は、まさに「再生回数地獄」にハマっていたんです。

当時の僕は広告代理店での知識に自信を持っていたので、「バズる動画なんて簡単に作れる」と高をくくっていました。トレンドを分析し、話題のBGMを使い、視聴維持率を高めるテクニックを駆使して動画を量産。確かに再生回数は伸びました。最高で80万回再生を記録した動画もあります。

しかし、売上は月10万円程度で頭打ち。生活はギリギリでした。

僕が犯していた最大の間違いは、「面白い動画＝売れる動画」だと思い込んでいたことです。エンタメ系のネタで注目を集めても、そこから商品購入につながる導線が全くできていませんでした。

ある日、フォロワー数万人のアカウントを持ちながら「先月の売上3万円でした」とクライアントに報告している自分に愕然としました。これでは完全に本末転倒です。

そこで気づいたのが、僕がやっていたのは「マーケティング」ではなく「エンターテイメント」だったということ。視聴者を楽しませることと、顧客に価値を提供して購入してもらうことは、根本的に異なるスキルが必要だったのです。

バズることに執着していた4年間を振り返ると、僕は完全に手段と目的を取り違えていました。目的は売上を上げることなのに、いつの間にか再生回数を増やすことが目的になってしまっていたんです。

そんな絶望的な4年間を経て、僕の人生を変える転換点が訪れました。それは、広告代理店時代の先輩から久しぶりに連絡をもらった時のことです。

「お前の動画、よく見てるよ。再生回数はすごいけど、売れてる感じしないな」

図星を突かれた僕に、彼はこう続けました。

「認知から購買まで、ちゃんと導線設計してる？広告代理店にいたなら分かるだろ。テレビCMだって、認知→興味→検討→購買って段階を踏ませるために、メディアミックスするじゃないか」

その瞬間、僕は愕然としました。動画マーケティングでも、この「認知から購買までの導線設計」が最も重要だったのに、バズることばかりに気を取られて完全に忘れていたのです。

そこから僕は戦略を180度転換しました。まず、見込み客の心理状態を5段階に分類し、それぞれの段階に応じたコンテンツを体系的に設計。認知段階の人には共感できる悩みを、興味段階の人には解決の可能性を、検討段階の人には信頼できる実績を、それぞれ届けるようにしたのです。

結果は劇的でした。再生回数は以前の半分になったものの、問い合わせ数は10倍に跳ね上がり、わずか6ヶ月で月収が7桁を突破。それまでの4年間がウソのようでした。

顧客心理を深く理解し、段階的に信頼を構築していく。この本質的なスキルこそが、「バズったのに売れない」という現代マーケティング最大の課題を解決する鍵だったのです。

僕のコンサル生も、この導線設計を学んでから同じような結果を出しています。次は、あなたの番です。

これまで僕自身の失敗と成功の体験をお話ししてきましたが、実際にコンサルを始めてから気づいたことがあります。それは、収益化できない理由が属性によって明確に異なるということです。

会社員の場合
最も多いのは「副業感が出すぎている」問題。平日の夜や週末だけの発信では、どうしても片手間感が伝わってしまいます。クライアントのTさん（30代会社員）は、プロフィールに「平日サラリーマン、土日起業家」と書いていました。これでは信頼を得るのは困難です。改善後は「マーケティング歴8年、副業で培ったノウハウを共有」と専門性を前面に出し、平日の昼休みにも短時間で価値ある情報を発信。結果、3ヶ月で月収20万円を達成しました。

主婦の場合
「家事育児の合間」というイメージが最大の壁。コンサル生のMさんは、子育て中であることを隠そうとして逆に不自然になっていました。しかし、「子育てしながらでも稼げる方法を実証中」と堂々と発信し始めると、同じ境遇の方から圧倒的な共感を得られるように。ニッチながら確実に売れるポジションを築けました。

学生の場合
経験不足を補うのは「リアルタイム性」と「純粋さ」。Kくん（大学3年）は最初「若造に何が分かる」と言われることを恐れていました。しかし「就活生が実際に試している最新手法」として発信したところ、同世代から絶大な支持を獲得。若さを武器に変えることで月収15万円を実現しています。

フリーランスの場合
意外にも最も苦戦するのがこの層。理由は「何でも屋感」が出てしまうから。Hさん（デザイナー）は、デザイン、動画編集、コンサルと幅広く発信していましたが、結果的に専門性が薄れていました。デザイン一本に絞り、その中でも「SNS用デザイン」に特化したところ、単価も上がり安定収入を得られるようになりました。

重要なのは、自分の属性を隠すのではなく、それを活かす方向で信頼を構築することです。

ここまで読んでいただいた方は、おそらく「自分も同じような状況かもしれない」と感じているのではないでしょうか。

実際、僕のもとには毎月100名以上の方から相談が寄せられますが、驚くことに90%以上の人が自分の収益化阻害要因を正確に把握できていません。

先ほどお話しした属性別の問題も、実はもっと細分化されます。同じ会社員でも、業界経験の有無、発信ジャンル、フォロワー層の質によって課題は全く異なるんです。

コンサル生のAさん（IT系会社員）は「専門性が高すぎて一般ユーザーに刺さらない」ことが問題でした。一方、同じく会社員のBさんは「専門性が低すぎてライバルに埋もれている」状態。真逆の問題を抱えていたんです。

つまり、収益化への最短距離は「自分固有の問題を特定すること」から始まります。

実は、これまでのコンサル経験をもとに、個人の状況に合わせた収益化阻害要因を特定できる診断シートを作成しました。15の質問に答えるだけで、あなたの具体的な改善ポイントと次に取るべきアクションが明確になります。

闇雲に施策を試す前に、まずは現状を正確に把握してみませんか？

1. バズと売上は別物
認知獲得（バズ）と購買促進（売上）は全く異なるスキルセット。大手企業のCMでさえバズっても売れないことがある構造的問題です。

2. 導線設計が全て
認知→興味→検討→購買という顧客心理の各段階に応じたコンテンツを体系的に設計することで、再生回数が半分でも問い合わせは10倍になります。

3. 属性を活かす
会社員、主婦、学生、フリーランス──それぞれの属性を隠すのではなく、強みとして活かす方向で信頼を構築することが成功の鍵です。

Q1: バズらなくても収益化できるのでしょうか？

はい、可能です。実際、私のコンサル生の中には再生回数が数千回程度でも月収30万円を達成している方がいます。重要なのは再生回数ではなく、適切なターゲットに適切なメッセージを届けることです。認知→信頼→購買の導線さえ構築できれば、少ないフォロワーでも十分に収益化できます。

Q2: 導線設計を学ぶにはどのくらいの期間が必要ですか？

基本的な考え方を理解するだけなら1週間程度ですが、実際に自分のビジネスに適用して結果を出すには3〜6ヶ月程度かかります。ただし、これは闇雲にバズを追いかけて何年も結果が出ない状況と比べれば、圧倒的に短期間です。私自身も理解してから6ヶ月で月収7桁を達成しました。

Q3: 会社員の副業でも本当に月収7桁は可能ですか？

可能ですが、現実的には月収20〜50万円を目標にする方が健全です。月収7桁は私の事例であり、本業との両立や睡眠時間を犠牲にしない範囲で考えると、まずは月収20万円を目指すことをお勧めします。それでも年収240万円のプラスになり、生活は大きく変わります。

Q4: 特定のジャンルでないと収益化は難しいですか？

いいえ、ジャンルよりも「誰に何を届けるか」という設計が重要です。美容、ビジネス、料理、子育て、趣味──どんなジャンルでも、適切なターゲット設定と導線設計があれば収益化できます。実際、私のコンサル生は多様なジャンルで結果を出しています。

Q5: 今からSNS副業を始めても遅くないですか？

全く遅くありません。むしろ、多くの人が「バズれば稼げる」という誤解に囚われている今こそチャンスです。正しい導線設計を理解している人はまだ少数派なので、本質を理解して実践すれば十分に差別化できます。重要なのは始めるタイミングではなく、正しい方法で継続することです。