先日、私が指導しているコンサル生から驚くべき報告が届きました。

「先生、ついにやりました！月30万円達成です！」

メッセージを送ってきたのは、半年前まで「数字を見るだけで頭痛がする」と言っていた彼女でした。

私は長年、副業やビジネスに関するコンサルティングを行っていますが、彼女ほど数字に対して強いアレルギー反応を示す人は珍しかったのです。初回面談では、売上の話になった途端に顔が青ざめ、「私には無理です」を連発していたのを今でも覚えています。

実は、このような「数字アレルギー」を持つ人は決して少なくありません。

SNS副業の世界では、フォロワー数、エンゲージメント率、CVR、LTV…数え切れないほどの指標が飛び交います。これらの数字に圧倒され、挫折していく人を私は数多く見てきました。

特に女性の相談者に多いのが「数字が苦手だから、センスやクリエイティブで勝負したい」という声です。気持ちはよく分かります。しかし、これこそが副業で成果を出せない最大の原因なのです。

市場には「数字なんて見なくても稼げる」という甘い言葉が溢れています。だが、これは完全な欺瞞です。ビジネスの本質は数字にあります。数字を読めない状態で副業に取り組むのは、地図を持たずに知らない土地を歩くようなものです。

先ほどの彼女も、最初は典型的な数字アレルギー症状を示していました。インスタグラムで手作りアクセサリーを販売していましたが、フォロワー数ばかり気にして、実際の売上につながる数字は一切見ていませんでした。当然、3か月で挫折してしまいました。

「もう諦めようと思っていました」

彼女のこの言葉が、私の心に刺さりました。才能もセンスもある人が、ただ数字への苦手意識だけで夢を諦めてしまう。これほどもったいないことはありません。

しかし、彼女は諦めませんでした。そして私も、彼女の可能性を信じて指導を続けました。その結果が、冒頭の報告だったのです。

数字アレルギーは克服できます。そして、数字と向き合えるようになった時、あなたの副業は劇的に変わるのです。

しかし、なぜ彼女は半年前まで挫折していたのでしょうか？

その答えが、今日の本題である「市場の闇」に直結しています。

実は彼女、私に相談する前に既に3つの高額塾で学んでいました。総額で100万円以上を投資していたにも関わらず、です。

どの塾でも、こうした表面的な手法ばかりを教えられていました。確かに設定はできるようになりました。しかし、肝心の「なぜその数字が出るのか」「何を改善すべきか」という分析力については、誰も教えてくれなかったのです。

これが市場の最大の問題点です。

9割の指導者が「やり方」しか教えません。なぜなら、その方が楽だからです。設定方法なら一度マニュアル化すれば使い回しができます。大量の受講生を効率的に処理できます。

一方で「分析力」を教えるには、一人ひとりの状況に合わせたカスタマイズが必要になります。手間もコストもかかります。だから、ほとんどの指導者が避けて通るのです。

その結果、受講生は設定だけはできるようになりますが、数字の意味を理解できません。改善点がわかりません。当然、成果は出ません。

「なぜ私だけ成果が出ないんだろう…」

多くの人がこう悩みますが、実はあなたが悪いのではありません。市場構造そのものに欠陥があるのです。

私がコンサルティングで最も重視しているのは、この「分析力」の習得です。UTMの設定なんて、正直言って誰でもできます。重要なのは、その後のデータを読み解き、改善策を導き出す力なのです。

次章では、彼女がどのようにしてこの「分析力」を身につけ、月30万円という結果を出すに至ったのか、その具体的なプロセスを公開しましょう。

実は、告白しなければならないことがあります。

私自身も、かつては重度の数字アレルギーでした。

マーケティング会社に勤めていた8年前の話です。当時の私は、今でこそデータ分析を武器にしていますが、数字を見るだけで冷や汗をかく典型的な文系人間でした。

そんな私が経験した、人生で最も屈辱的な失敗談を聞いてください。

プロジェクトリーダーとして任された大手クライアントのキャンペーン。広告予算は月500万円という、当時の私にとっては巨大案件でした。

クライアントからの要求は明確でした。しかし、私にはこれらの数字が何を意味するのか、本質的に理解できていませんでした。

結果はどうだったか？

初月のCPAは15,000円を超え、CVRは0.8%という惨憺たる結果。500万円の予算をほぼ無駄にしてしまいました。

クライアントとの会議で、私は完全に立ち往生しました。

「なぜこの結果になったのか、データを基に説明してください」

私は何も答えられませんでした。数字の羅列は読めても、その背景にある「なぜ」が見えていなかったからです。

その場で私は、30人が参加する会議室で公開処刑を受けました。上司からは「マーケターとしての基本ができていない」と厳しく叱責されました。

帰宅途中、電車の中で私は決意しました。

「絶対に数字を読めるようになってやる」

しかし、その後の勉強方法が間違っていました。統計学の本を買い漁り、エクセルの関数を暗記し、様々なツールの使い方を覚えました。

だが、結果は変わりませんでした。

数字は読めるようになりましたが、そこから「次に何をすべきか」が見えてきません。まさに、先ほど話した「9割の人が陥る罠」そのものでした。

転機が訪れたのは、失敗から3ヶ月後のことでした。

上司から提案されたのは、意外にもシンプルな方法でした。

正直、馬鹿にしていました。

「5分で何が変わるんですか？」と反発した私に、上司はこう答えました。

「お前は完璧を求めすぎるんだよ。1時間勉強しようとして挫折するより、5分続ける方が100倍価値がある」

渋々始めた『UTM日記』。最初は本当に苦痛でした。

こんな稚拙な内容から始まりました。しかし、継続していくうちに変化が現れました。

1週間後：「クリック率が下がった原因は、投稿時間が通勤ラッシュとずれていたからかもしれない」

2週間後：「utm_source=instagramの成果が良い。フォロワーの年齢層とマッチしている可能性が高い」

1ヶ月後：「昨日のA/Bテストの結果、画像A（utm_content=imageA）の方がコンバージョン率が1.8倍高かった。次回のクリエイティブ制作に活かそう」

気がつくと、数字を見ることへの恐怖心が完全に消えていました。

さらに驚いたのは、この習慣が他の領域にも波及効果をもたらしたことです。朝の5分が10分になり、やがて30分の分析時間を確保するようになりました。

半年後、私が提案したキャンペーンは会社史上最高のROIを記録し、あの屈辱的な失敗の記憶は完全に過去のものとなりました。

冒頭で紹介した彼女にも、全く同じ方法を提案しました。「完璧な分析は求めない。毎朝5分だけ、UTMパラメータの数字を見て感じたことを書いてください」と。

彼女からの報告メールには、こんな一文がありました。

習慣化の力を侮ってはいけません。特に、心理的ハードルを極限まで下げた「5分習慣」の威力は絶大です。

明日から始められます。いや、この記事を読み終わったら今すぐ始められます。それが『UTM日記』の最大の魅力なのです。

この習慣化の威力を証明するように、私のコンサル生たちも様々な属性の中で成果を上げています。

こうした相談を受けるたびに、私は実際の成功事例を紹介しています。

会社員のA子さん（29歳・事務職）
通勤時間の20分だけでUTM分析を習慣化。スマホのメモ機能で数値を記録し、3ヶ月で副業収入15万円を達成。「朝の電車が勉強時間に変わりました」と報告してくれました。

主婦のB美さん（34歳・2児の母）
子供の昼寝時間を活用して無料ツールのみで分析。家事の合間の「ながら作業」で月8万円の安定収入を構築。「子育て中でもできるんだと自信がつきました」

大学生のC君（21歳・経済学部）
学割を活用して低コストでツールを導入。アルバイト代を上回る月12万円を達成し、就活でも「データ分析ができる学生」として内定を獲得。

フリーランスのD郎さん（38歳・デザイナー）
既存スキルと分析力を組み合わせて単価を2倍にアップ。「感覚だけでやっていた仕事に根拠が生まれた」と収入の安定化に成功。

重要なのは、全員が「完璧な環境」ではなかったということです。

時間もお金も限られた中で、それぞれの制約を逆に武器に変えています。会社員は通勤時間、主婦は育児の合間、学生は学割、フリーランスは既存スキル。

属性は違えど、共通しているのは「毎日5分の習慣」を継続したことだけでした。