ネットマーケの歴史からひも解く「振り子の法則」に関して
当記事は前の記事の続きとなります。もしまだ1記事目を読んでいない場合は、こちらから順番にお読みください。
どうも、名無しのマーケターです。
もしあなたが、巷の真似・パクり・テンプレばかりの”金太郎飴ビジネス”から卒業して、正しいビジネスを身に着けて自分自身の力で未来を担保したいなら、まずはその歴史から知ることをおすすめします。
もし、今まで自分がやっていたことの経験ばかりにフォーカスして、歴史に一切目を向けなかったのであれば、この記事に出会ってよかったと心底思ってください。
愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ
と、ドイツ宰相のビスマルクは言いました。
あなた自身の経験から学んでいくのもおおいに結構ですが、ある程度の経験を積み、今までの選択や行動が正しかったか間違っていたのかがわかるようになるには、数年単位の時間が必要です。数日~1週間程度の時間軸は経験とは言いません。
例えば1つの選択や行動が経験となるのに5年かかったとしましょう。あなたが今30歳なら、仮に人生が80歳までとしても50年間で10の経験しかできません。「それだけあれば十分」って思うかもしれませんが、実際60歳とかになって新しいことにガンガン挑戦できるかっていうとそうもいきません。
健康面とかありますし。しかも10つの経験してるってことは、その前の9つの経験は徒労に終わっている可能性が高いわけですが、そう考えるとしんどくないです?私だったら1の経験で終わっておきたいと思うのですが、みんなドMなんですかね。笑
できるだけ早い段階で「人生上がった」という安心感、欲しくないです?
それにYesと感じたなら、おすすめな行動が1つあります。それが、”過去の歩み=歴史を知り、それを自分の疑似経験とすること”です。
歴史を知ることで、その業界や分野の全体図が見えます。木ではなく森全体が見えるようになります。いわゆる俯瞰、鳥の目です。これがあることで、よりピンポイントな物事を複眼的に見る虫の目での分析もできますし、流れを読む魚の目での分析もできます。大体の人が、目の前の物事だけを見ていて、俯瞰ができていません。だから息詰まるし、迷います。
迷路も平面で見たら目の前の道しかわからなくてドツボにはまりますが、上から俯瞰してしまえばどこにゴールがあって、どの道がどことリンクしてるか脳内でシミュレーションできますよね。そんな感じです。
大前提として、歴史はやっぱり繰り返す
この記事ではネットマーケの歴史を紐解きますが、その大前提としていろんな物事において、やっぱり歴史は繰り返してます。戦争も政治もなにもかも、見てくれは変わってますが、だいたい同じことを定期的にやっているだけです。
今の時代、別に武器でドンパチせずとも、サイバー攻撃や経済的な攻撃で血を流さず大ダメージを与えることは余裕にできるのに、なぜか某国では爆弾使って、兵隊が出動して、火薬と血をまき散らしていますよね。ドローン兵器などもでてきてますが、根本はやっていることは変わりません。第2次世界大戦から1世紀近くなっているのに、です。
政治だって、これだけデジタル技術が発達したならば、国会議員の数は最低限とし、オンライン会議システムで国会を開催し、国民も参加し意義を唱える…といったこともできてしまうのですが、なぜかいまだに選挙をし、国会に集まり、やる気あるのかわからない議員たち”だけ”で問答しています。あと寝てます。
こんな感じで、この世界には技術云々関係なく”なぜか同じことを繰り返してしまう力学”があるわけです。
これを”ホメオスタシス”だとか”振り子の法則”などと呼んだりしますが、大小さまざまなことがフラクタル構造を前提とし、これに支配されています。
- 拡大(増加)したものは、収縮(現象)する:宇宙、風船、人口増加⇒少子高齢化、栄枯盛衰、ゴムの収縮
- 押し寄せたものは、引き返す:波、作用反作用の法則
- 温度は一定を保とうとする:人体は暑ければ汗をかき寒ければ震える、水は加熱したらお湯になるが冷めて戻る(凍らせても溶けて戻る)、地球温暖化と寒冷化のサイクル
まああまり難しく考えず「そういうリズム的なものがあるんだなあ」程度の感覚の理解で構いません。別に物理学とかの話が本題ではないので。
ネットマーケの歴史も、もれなく繰り返している
で、本題です。この”リズムっぽいもの”に、もれなくネットマーケの業界も支配されているわけです。
なぜ、今流行っている巷のSNSマーケなどが金太郎飴と言えるのか、ここにすべてが詰まっています。これを理解するために、少しずつ分解していきます。
ネット媒体の属性サイクル
ここからの話をしっかり理解するために、まずはこれを覚えてください。我々が何気なく使っているネット媒体は、ざっくり4分類できます。
- テキスト、動画音声媒体:発信者からの一方通行の発信
- ソーシャルメディア:発信者と受信者の双方向の発信
- コミュニティ:ユーザー同士の網目的な発信
- クローズメディア:発信者から限られらユーザーへの発信
時代を追うごとに、現在の媒体は複数の属性を持つようになったので明確な分類は難しくなってきましたが、ざっくりこんな感じです。(同じ動画媒体でも、昔のテレビはコメントできないがYouTubeはコメントで発信者へアプローチできるし、メンバーシップというクローズメディアやコミュニティの要素もあるのが今。)
これらを、時代にごとに流行の媒体が変わりながらユーザーがいったりきたりしています。
ネットマーケを用いたビジネスの直近15年くらいの流れ(ざっくり)
本当にざっくり、特に個人レベルの規模感で書くとこんな感じになります。2000年以前はそもそもネットマーケというのが一般人クラスまで降りてきてなかったので触れません。その時はせいぜいメディアといえば新聞テレビラジオでしたから。
元祖ネットマーケ時代:2005~2010年ころ
ちょうどネット環境が整ってきて、ノートパソコンでいろいろできたり、ガラケーからスマホへじんわりとシフトしだしたような時期です。
この時は、2chなどの掲示板だったり、簡易的なホームページが主流でした。ブログなんかもあるにはありましたが、3カラムのなんかごちゃごちゃした感じのやつ(Yahoo!のトップページが近い雰囲気)。笑
本当に初期の初期の、いわゆる昔ながらのTHE・情報商材が流行っていた時期。今みたいにnoteとかBrainで誰もが売ってますって状態ではなく、かなりのマイナーな業界だったころですね。
こういうコテコテのやつ(あくまでデザインの話)↓
出典:http://www.insiderscoachingclub.com/encyclopedia/ism/
掲示板だとかホームページ、ブログから無料レポートという特典として受け取れるPDFを通してメルマガに登録させ、それを経由して販売する…っていう、”ファネル運用”を主にテキストメディアのみでやっていた時代です。このころは金額も1~3万程度が主流でしたね。
勘のいい人は「あれ?このメディア⇒特典⇒メルマガ…って流れ、最近のインフルエンサーもやってね?」と、気づいたと思います。
そうです。YouTuberやツイッタラー、ブロガーも、最初はそのメディアだけでしたが、ここ数年でLINE公式アカウントやメルマガを使うようになり、同じように誘導し、同じように自分のコンテンツを販売し始めてませんか?
で、そのファネル運用の手法を”最新ノウハウ”とか言って売ってる人もいますけど、そもそも20年近く前からあったわけですよ。この話だけ聞くと「巷の方々の”最新ノウハウ”ってどこが最新なの?」って思いません?私が金太郎飴ビジネスだって言う理由もわかるでしょう。
とまあ、これが2000年台です。ここから、スマホやSNSの台頭があったことでシュリンクします。正式には、目立たなくなります。
ネオヒルズ時代(元祖インフルエンサー時代):2010~2015年ころ
このころのことは、今の30代くらいの世代なら強烈に印象に残っているのではないでしょうか。
与沢翼氏をはじめとする、ネオヒルズ続がどこからともなく現れた時代。その影響力の造成に一役かったのが、Facebookでした。SNS全盛期の幕開けであり、今のインフルエンサーの人たちと同じような活動でお金が動いた最初の時代。
このころは、Facebookでいいねやフォロワーを集め、きらびやかな発信や胸が熱くなるようなオピニオンを発信し、ファンを形成。そこからLP(ランディングページ)を通してメルマガへ誘導。そのメルマガではステップメールや動画が5通ほど送られてきて、購入モチベが爆上がりからのウェビナーを開催し、30万するような塾を一気に売る…といった時代でした。
俗にいうプロダクトローンチという手法です。
そのコンテンツの中身を一言で言えば”俺様みたいになりたければ俺と同じことをしろ”でした。要は見てくれをよくした発信をし、それに引き寄せられた人に同じように”俺様みたいになりたければ俺と同じことをしろ”コンテンツを販売するといったもの。
ノウハウらしいノウハウはなく、真似・パクり・テンプレと、それっぽいマインド論のみです。でも、信者たちはそれを神の啓示かのようにありがたがってしまう…。
一つ前の時代の入り口が掲示板などからSNSに代わり、”ファンビジネス”の要素が入ったのがここですね。”元祖インフルエンサー時代”と言っても過言ではないでしょう。
このころすでにYouTubeはありましたが、あくまでメルマガの中で読者を教育するための位置づけで活用されていました。(これも今のインフルエンサーたちやってますね。メルマガやLINEの中の教育コンテンツとしての動画活用といった形で。)
地上波デビューするなど、勢いがすごかったのですが、その反動でアンチも多数生まれ、脱税やら逮捕やらいろいろと事件が起こった影響で人が離れ、下火になりました。そんな裏で、HIKAKINが徐々に人気になり、この後のブロガー、YouTuber時代に足掛かりを作っていたころです。
ブロガー、初代YouTuber世代:2015~2019年ころ
ネオヒルズ時代(元祖インフルエンサー時代)が下火になり、その当時のイケイケどんどんな雰囲気に消費者側も疲弊、または飽きたのか、ここにきて再度ブログが注目されるようになりました。テキストメディアの時代の再来です。ネオヒルズ時代のようにSNSで相互作用発信をする時代から、一方通行な時代に戻りました。
特に、ビジネス臭があまりしないブログらしいブログが人気を博していました。クリエイター風味のきれいめなコンテンツが受けていた時代です。
マネタイズとしても、高単価商品を売るというよりかは、A8netなどによる物販系アフィリや、noteの有料コラムなど月額500円程度の有料コンテンツを販売するなど、とてもクリーンな感じ。
ある意味、一番ビジネス感のなかった時代です。
しかし、このころ”オンラインサロン”という月額制の有料コミュニティでのマネタイズ手法が流行り始めました。これの出現により、今のような金太郎飴ビジネスの素地ができあがってしまいました。
最初はテスト的にやってみたレベルのものが、読者が思った以上の人数月額制で課金し、月額500円程度のものなのに月商50万以上の金額を生み出すことに、気づいてしまったわけです。
今までコンテンツを生み出し、それに対して広告や有料コラムなどで上げていた収益以上の収益を”より楽に”稼げる手段があると多くのクリエイターが気付きました。そうして”教える系オンラインサロン”が乱立していったわけです。
ネオヒルズ時代の塾の、低単価月額制に金額を落として、きれい目なラベルに交換した”クリーンな雰囲気の情報商材屋”に、ブロガーたちは徐々にシフトしていきました。
同時に、YouTubeのほうではヒカルやラファエルなどのいわゆるビジネス系YouTuberが人気を博していました。こっちの媒体ではまだ情報商材的なマネタイズ手法はでておらず、広告や案件での収益がメインではあるものの”ビジネスとしてYouTube使うと儲かるんだな”という認識が一般消費者にも浸透してきたタイミングです。(収益報告系の動画や、羽振りの良さから金のにおいがもろに出始めた)
同時に、2018年ころにGoogleの検索アルゴリズムの大変動により、それに被弾したブロガーやSEOに依存していたアフィリエイターの収益は、ガクッと落ちました。本当に一晩で月商300万⇒月商15万になるようなことが日常茶飯事だったようです。(月商15万でも、副業として考えたら割といい感じですけどね!)
出典:https://note.com/hichanblogger/n/n45bbf19bcf48#b610980e-7351-43af-a66d-9698ccdbb232
そこで、彼らはこう思いました。「媒体依存はダメだ。自分自身の影響力こそ資産!影響力が全て!」と。2019年ころからでしょうか。あっちこっちで知名度だー!影響力だー!フォロワー数がー!とうるさくなったのは。で、ブランディングやらポジショニングが重要だとか言われ始めました。
そして、今のモラルなき時代につながっていきます。
モラルなき大インフルエンサー(情報商材屋)時代:2019年~今
”影響力”という3文字が、絶大な影響力を持ってしまいました。同時に、それが一般消費者たちが昔から洗脳教育されていた「有名=すごい人なんだ」という思い込みがマッチしてしまい、影響力を持つことが1番お金になる…が正となったのがこのころ。
影響力をもって人が集まれば、広告でも案件でも自分のサービスでも月額制のオンラインサロンでも物販でもなんでもお金になってしまう。(まあ昔からそうですが)
同時に、いそんな属性をもった様々なSNSが乱立してきたのもこのころ。
- 旧Twitter
- インスタグラム
- YouTube
- Tiktok
- Clubhouse
- Voicy
- 17live
などなど。
そして”影響力”の絶大な効果に気づいた一般人たちが、有名になってポジションを取ろうとたくさん参入し、市場が飽和しつつあったのもこの時でした。それにより競争が激化し、手段を選ばない人が急増しました。迷惑系の人や、ギリギリのエロを使って男性を釣る性的なコンテンツ、プレゼント企画で無理やりフォロワー数を増やしてハリボテを作る…など。
そして、手っ取り早く金を稼ぐために、陳腐な情報商材を作っては売り…と繰り返す。そんな時代です。
ネオヒルズ時代の再来を想起させます。影響力をつけ、盲目的になった人たちにそれっぽいコンテンツを売り集金していく。今のインフルエンサーと当時のネオヒルズ族一味をならべてもあまり違いは感じないはずです。
初期の時代で売ってたものと、今のインフルエンサーらやネオヒルズ族が売っていたものを見比べてみてください。似てきてませんか?
よく見ると、いったりきたりしてませんか?
- テキストメディアを中心とした一方通行の発信が主流となる時代
- SNSを軸に個人の影響力を起点とする”ファンビジネス”の時代
使える媒体も増え、収益化の方法も多岐にわたるため、ハイブリッドになりつつあるものの、上記2つを約5年単位でいったりきたりしています。
じゃあ今の時代はどっちかといえば、誰がどう見ても後者ですよね。
今のインフルエンサーは誰がどう見てもファンビジネスであり、彼らが売っている”フォロワーの増やし方”だとか”文章力うんぬん”というのは、ネオヒルズ時代とかなり類似しています。文章術なんかは、元祖ネットマーケ時代と大筋変わりません。
要は、やってる人や見せ方が変わっているだけで、やっている”こと”は20年前から大して変わっていないんですよ。それを最新っぽく見せてるってだけで。
ほら、ラベルだけ張りかえた金太郎飴ビジネスでしょ?ポケモン赤青緑を、最新作の箱にいれて「最新作でたよ」って販売しているわけです。これ、巷では詐欺っていいますけど大丈夫ですかね。売る側も買う側も。
そろそろ、ダークサイドに落ちるのやめませんか?って問いたいです。
今後の流れはどうなるのか
モラルなき大インフルエンサー(情報商材屋)時代は、インフレや物価上昇も相まって手段を考えず金を稼ごうとする人が増えたのか、本当にモラルが崩壊してきています。この感じ、ネオヒルズ族がいろいろ問題を起こしてそのあとシュリンクしていったタイミングの雰囲気とかなり類似しています。行き過ぎている…といいますか。
こうなると、過激な発信やコンテンツの多さに疲れを感じると同時に、消費も早くなり、あるタイミングで急激に市場が冷え込みます。短期間で盛り上がったものは、短期間で盛り下がるものです。
そんなこんなで、今後は”閉じた発信”に向かうと思っています。
- 匿名性が高く(衆目に触れない)
- ユーザーはフォローする発信者を限定し、発信者はフォロワーを厳選する
- すぐに流れていくものではなく、ストックされて後から消化できるもの
またテキストメディアが評価されだす可能性もそれなりにあります。個人的には、音声コンテンツは注目できそうかな、と。
今の時代は、もうそろそろシュリンクしていくでしょうね。
今から巷のインフルエンサーのような動きを始めようとしているなら、やめておいた方がいいです。投資でいうなら、株価が最も高いところで全ツッパするようなものですから。今彼らが最大級に盛り上がっているなら、その逆を仕込みましょう。振り子が逆方向に振れるタイミングは、もうすぐです。
”人の行く裏に道あり花の山”です。
あなたは気づかないうちに金太郎飴になろうとしている
もし、あなたがこの記事で書いた歴史や流れを知らずに、なんとなく出会って好きになったインフルエンサーの売り物を買おうとしているなら、一旦立ち止まってみて。
それは十中八九”今この瞬間の流行をどう攻略するか”の価値しかないものです。今じゃなくなれば、通用しないものですし、その今っていうのはすでに通り過ぎてしまっているかもしれません。
実際に動画編集やプログラミングスキル系のコンテンツは4年前くらいは実際の仕事も取れるほど需要が大きかったですが、今は供給が増えすぎて、オアシスで水を売るような状態です。そうなると始まるのは価格競争であり、じり貧まっしぐらです。
もちろん、今この瞬間だけ通用すればいいなら止めません。
しかし、マーケティングの世界は定期的に大きなルールチェンジが発生します。
- 2018年頃のSEOのアルゴリズムの大変動
- YouTubeのガイドラインの厳格化による大手チャンネルのBAN
- エンゲージメントベイトの規制(いいねやシェアを特典を使って誘導することの禁止。例:プレゼント企画や現金配り企画など)
「そのたびにハックすればいい」と思うかもしれないですが、それめちゃくちゃ疲れますから。私からすれば「いつまで振り子に振り回されるの?」って話です。自分以外の何かにルールチェンジされて振り回されることがない方が普通によくない?と思うのは私だけですかね。
そんな”本流”と呼べるものは、確かにあるんですよ。それを語れる人はSNSなんかで発信しないので、誰も気づくことはありませんが…。
ではそれはなにか?というのを、残り3記事で紐解いていきます。